BtoB取引のFAX受注業務を効率化するには?課題や解決方法を詳しく解説

BtoB取引のFAX受注業務を効率化するには?課題や解決方法を詳しく解説

コロナ禍により、近年多くの企業で働き方改革やデジタル化が進められており、急速にテレワークやクラウドサービスが浸透・定着しつつあります。そういった中、BtoB取引では未だにFAX受注の文化が根強く残っています。
そこで本記事では、FAX受注が根強く残っている背景や課題、解決方法について解説します。
FAX受注に課題を感じている方や、業務効率化やDX化を検討している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

1.FAX受注が根強く残る背景

日本のFAX利用は他国に比べて突出して高く、FAXを廃止できない大きな理由として、自社や取引先の経営陣、FAXを利用している従業員のITリテラシーが不足しているケースが多くあります。現在もFAXは問題なく使えるが故に、社内でデジタルツールの利便性や効率性についての知識が浸透しておらず、FAXのデメリットに気付きにくい状況が続いています。特に、古い慣習が残る企業や変化への抵抗が強い企業では、この傾向が顕著です。

また、FAXを廃止するには、これまでの業務フローやツールを見直す必要があり、それには相応の時間・労力・コストが必要です。さらに、取引先や顧客がFAXを望んでいる場合、一方的に廃止することは難しいでしょう。顧客・取引先との関係性を維持するため、FAXの廃止を希望しているものの、実現が難しい企業は少なくありません。

その一方で、総務省が実施した調査によれば、デジタル端末の普及と反比例してFAXの保有率が年々減少しています。このままFAXの利用を続けていくことは、持続可能な経営を目指す上で望ましくありません。今後は経営基盤を中長期的な視点で考え、FAX受注からの脱却が検討すべき重要な課題となります。

出典:総務省「令和2年通信利用動向調査」

2.FAX受注業務における課題とは

そこで、BtoB取引におけるFAX受注業務の課題を3つご紹介します。

2-1 FAX処理や対応への手間やコストの負担が大きい

FAXを使った受注業務は、アナログな対応になるため、都度FAX受信機まで取りに行き、手動で基幹システムや在庫管理システムへ入力が必要になり、非常に手間がかかります。特に、注文書に手書きや略称で記入されることがあり、これによって取引先への確認作業が必要になることもあります。

また、FAX受注業務では、紙ベースでの管理になるため、効率的な情報閲覧や検索が難しく、過去の情報を調べるためには膨大な資料の中から一から探さなければなりません。さらに、印刷用紙・インク・トナーの消耗品の補充や機器の保守、保管スペースの確保等の手間やコストが必要になります。

そのため、FAXの受注処理や対応作業には、1日の大半の時間を費やしてしまうことも多々あります。

2-2 ヒューマンエラーが起こる

注文の確認や入力作業中に生じるヒューマンエラーはさまざまです。
例えば、注文用紙の確認漏れや記載内容の見落とし、読み取りミスなどがあります。また、正しく読み取っても、間違った情報を入力する可能性もあります。これらのミスが起こると、後で商品の返品や交換が必要になり、余分な労力とコストがかかります。
さらに、FAXで受注する際、FAXの通信トラブルや取引先が誤ってFAXを誤送信してしまうなどのトラブルも発生します。これらの誤送信は、情報漏洩のリスクを伴うことがあり、企業間の信頼関係だけでなく、社会的信用にも影響を及ぼす可能性があります。

2-3 リモートワークに対応できない

近年、働き方改革やBCP対策、コロナ禍の影響でリモートワークが一般的になりつつありますが、FAX注文では対応できないことが大きな問題となっています。FAXは機器のある場所でしか送受信できず、複数のメンバーとの情報共有や書類の保管にも制限があるため、FAX注文に関与するメンバーはオフィスへの出社を余儀なくされます。

そのため、FAX注文の場合、外出する場合であっても、その都度朝早くに出社して確認・処理しなければなりません。取引先がリモートワークを導入している場合も、毎回FAX注文するために出社してもらう必要があります。

3. FAX受注業務を効率化するメリットは?

FAX業務の効率化は、多くの企業にとって現実的な改善課題です。しかし、その効果について十分な理解が得られていないこともあります。ここでは、FAX業務の効率化がもたらすメリットについて詳しくご紹介します。

3-1 受注処理の工数やヒューマンエラーを削減できる

まず、業務の生産性が向上します。受注書類をデジタル化することにより、これまで多くの時間を費やしていたシステムへの手入力時間や、受注情報や内容確認業務が大幅に効率化・自動化され、受注数の管理も容易になります。

また、ペーパーレス化が実現すれば、人件費だけでなく、FAX運用に必要な機器、紙やインク・トナー代等のコストも大幅に削減できます。

さらに、これまで電話で対応していた、取引先からのカタログ請求や単価確認、見積依頼、納品日・在庫確認等の雑務も、取引先自身でWeb上で確認できるようになります。

これらにより、時間や人的リソースが節約され、コア業務により集中できるようになります。

3-2 多様なワークスタイルに対応できる

リモートワークを導入する際には、FAX受注のWEB化が必要不可欠です。リモートワークの実現により、スマートフォンやタブレット端末、PCを通じて、24時間365日、リアルタイムでデータを確認することが可能となります。これにより、場所を選ばずに勤務することも容易になり、リモートワーク以外でも外出先で受注内容を確認することもできるようになります。

柔軟な働き方を提供することで、従業員の満足度が向上し、会社への定着率が高まる効果も期待できます。

3-3 受注側だけではなく発注側の効率化にもつながる

受注側の対応時間を削減するだけでなく、発注側の取引先にとってもWEB化は大きなメリットがあります。

例えば、取引先側で発注履歴や在庫・配送状況等を即座にWeb上で確認できるため、待ち時間がなくなり、タイムラグによる機会損失を防ぐことができます。また、FAX受注の脱却により、取引先側もリモートワークを導入することができるようになり、多様な働き方が実現可能となります。

それでも、多くの企業は、「アナログ業務に慣れている取引先が、本当にWEB化に対応してくれるのだろうか」という不安を抱いています。システムを導入してもそれを取引先側に活用してもらわなければ導入コストが無駄になるため、システム導入を躊躇してしまうケースも少なくありません。

しかし、実際には取引先側もFAX業務に多くの時間とコストを費やしているため、WEB化によりこれまで発生していた確認作業や手間、ヒューマンエラーを大幅に削減することができます。このように発注者側のコスト削減が実現すれば、顧客満足度の向上にもつながります。

4. FAX受注業務を効率化するためには?

では、具体的にどのような方法で効率化を図ることができるのでしょうか。本段落では、FAX受注の課題解決方法を3つご紹介します。

4-1 PC-FAXやインターネットFAXを利用

PC-FAXやインターネットFAXにより、パソコンや複合機、電話回線、インターネット回線を活用し、FAXとパソコン、スマホ、タブレットと連携させることで、パソコンやインターネット上でFAXの送受信をすることが可能です。FAXはパソコンやオンライン上でデータに変換・記録されるため、印刷する必要がなく、インクや紙が不要になるのがメリットになります。
ただし、送受信のデータ通信にはFAXと同様、電話回線を使用するので、通信料金がかかります。また、連携できる複合機を導入しなければならず、パソコンのOSによっては利用できない可能性もあります。さらに、受注時においてはシステムへの転記が必要になり、コストや工数の削減があまり期待できないのがデメリットです。

4-2 OCRやRPAで自動化

OCR(Optical Character Recognition)技術を使ってFAXの画像データからテキストデータへと置き換え、RPA(Robotic Process Automation)によってシステム入力処理を自動化することができます。

OCRはデータを印刷する前に読み込むため、印刷コストの軽減が可能となり、RPAにより手作業で入力する手間を省くことができるのがメリットです。

一方で、手書き文字により読み取りできないことや誤認識したりすることがあるため、どうしても人の目でチェックする作業や文字の手修正作業も必要になります。さらに、OCR、RPAともにイニシャルコスト・ランニングコストがかかり、それに加えて、別途読み取り枚数によって課金されるケースも多くあります。

4-3 受発注システムやBtoB-ECを導入

受発注システムやBtoB-ECを導入することで、パソコンやスマートフォン、タブレット端末からオンラインで受発注することができます。また、取引先自らWeb上で注文内容を入力するため、伝票入力や確認等の工数やヒューマンエラーが減り、シームレスな対応とコスト削減が実現できます。

さらに、基幹システムや販売管理システム、WMSと連携することで、データ入力の手間削減やリアルタイムで在庫状況を把握することも可能です。

その他にも帳票類の自動作成や取引先毎の販売条件設定等も可能ですので、
詳細は下記からご確認ください!

なお、受発注システムについての詳細は、こちらの記事(受発注システム選定のポイントを詳しく解説!各システムの特徴、メリット・デメリットを紹介)も参考にしてください。

5.まとめ

日本のBtoB取引において未だに根強いFAX文化ですが、今後より一層リモートワークやデジタル化の浸透に伴い、FAX保有率の低下は進んでいくでしょう。
また、FAX受注からの脱却は受注側だけでなく、発注側の業務効率化や生産性向上のためにもつながります。今後FAXを使い続けるのであれば、PC-FAXやOCRも有用ですが、中長期的な目線でFAX受注業務を効率化していくためには『BtoB-EC』の導入がおすすめです。

BtoB-ECについては、こちらの記事(BtoB-ECの市場規模が急拡大!圧倒的スピードで拡張する理由は?)を参考にしてください。

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